内視鏡検査への想い②
院長の杉山です。
早いもので当院が開院して半年が経ちました。
6月からは関市の健診が始まり、当院でも特定健診、すこやか健診、ヤング健診の他に各種がん検診を実施しており、もちろん胃がん検診の内視鏡検査もおこなっております。
Web・LINEからの予約、またはお電話でお気軽にお問い合わせください。
今回は前回に引き続いて、現在の内視鏡検査への想いについて書かせていただきます。
私は胃がん・大腸がんの死亡者ゼロを目指して内視鏡検査を行っておりますが、開業してから思っていることは妥協しない内視鏡検査、患者様の立場に立った内視鏡検査を心がけております。
今までは総合病院で内視鏡検査・治療の指導医として勤務していたため当然妥協のない内視鏡検査・治療を行っておりました。しかし、一般的には多くのクリニックでの内視鏡検査は総合病院での検査とは異なる点があります。
何が違うかというと、クリニックで最後まで検査・治療を完遂するかどうかです。
- ①検査の完遂について
お腹の手術をしたことがある人の中には腸が強く癒着しており、大腸カメラ検査時の痛みが強く、場合によっては奥まで挿入できず大腸の観察が不十分となってしまうことがあります。鎮静剤を使用しても挿入できないこともあり、一般的なクリニックではそのような患者様の場合は早々に検査を中止し総合病院へと紹介させていただくことが多いです。
理由は検査時間が長くなってしまうこと、痛みが強いため患者様からの評判が悪くなってしまうこと、技術的に挿入できないことなどがあります。
私は今まで総合病院で内視鏡挿入が難しい患者様に対して最後の砦(?)として検査を行ってきたため、内視鏡検査の挿入には自信があります。実際に開院してからまだ半年ではありますが、他院で大腸内視鏡検査を受けた患者様で鎮静剤を使用しても痛みがかなり強く、奥までの挿入ができなかったため当院へ来院された方も何人かいらっしゃいます。当院でも鎮静剤を使用して検査を行い、結果としては苦痛なく無事に奥まで観察することができました。
一般的なクリニックのように内視鏡挿入が難しい患者様は総合病院へと紹介する選択肢はありますが、再度下剤を飲んでもう一度検査をしていただくことの患者様への負担(身体的・金銭的)を考えると私は妥協のない内視鏡検査を行いたいと思っております。
- ②内視鏡治療の完遂について
大腸内視鏡検査でポリープ(早期がん)が見つかった場合は、病変の種類にもよりますが内視鏡切除で治療を行うことができます。しかし、内視鏡切除の方法にもいくつかあり、
(1)CSP(コールドスネアポリペクトミー)
(2)ポリペクトミー、EMR(内視鏡的粘膜切除術)
(3)ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
などの方法があります。
(1)はスネアと呼ばれる金属の輪っかをポリープに引っかけてそのまま切ってしまう方法。
(2)はスネアをポリープに引っかけた後で通電(電気を流しながら)し焼き切る方法。(EMRは粘膜の下に水を注射しポリープを浮かび上がらせてからスネアを引っかけます)
(3)は細い電気メスのようなもので腫瘍の周囲を少しずつ切っていく方法。
それぞれの方法には以下のような特徴があります。
|
メリット |
デメリット |
CSP |
簡単に行うことができる 治療後の出血が少ない |
1cm以上の病変は切除できない がんの場合は再発のリスクがある |
EMR |
1cm以上の病変も切除できる がんの場合も取り切ることができる |
CSPと比べると後出血が多い 高周波装置が必要 |
ESD |
さらに大きな病変も切除できる |
技術が必要であり一部の内視鏡専門医しかできない 消化管穿孔などのリスクがある 大きな潰瘍ができるため入院が必要 |
私は専門的に治療をしていたためESDまで行うことができますが、クリニックには入院施設がないため当院ではESDを行うことはできません。
小さなポリープであれば現在はCSPで簡単に切除することができます。少し大きなポリープの場合はEMRが必要となり、高周波装置のある施設でないと切除できません。(当院は高周波装置がありますので当然切除できます)
2cmを超えるポリープの場合は、手技がやや困難なこと・時間がかかること・出血のリスクが高いことなどから総合病院へ紹介するケースが多いです。
しかし私は妥協しない内視鏡検査を心がけており、少しでも多くの患者様にクリニックで総合病院に準じた内視鏡治療を受けていただきたいと思っております。これまでにもかなり大きなポリープ(早期がん)でしたが、患者様の負担を考え当院で治療させていただいた方もいます。
もちろんESDなどの治療が必要な患者様の場合は、適切な総合病院へとご紹介させていただきます。
可能なかぎり内視鏡検査・治療を当院で完遂させる妥協のない内視鏡検査を行い、今後も胃がん・大腸がんの死亡者ゼロを目指しますので宜しくお願いいたします。
一般内科の疾患も患者様の立場の立った診療を行っていきますので、お気軽にご相談ください。