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ラジオホームドクター出演 ~知っておくべき胃がんのこと~

院長ブログ

関市の胃がん検診も始まり、これから内視鏡検査を考えている方もいらっしゃると思います。

みなさんは胃がんについて「正しく」知っていますか?

普段患者様とお話をしていると、胃がんについて誤解されている方が多いことに気づきました。
先日、岐阜県医師会から『ラジオホームドクター』(https://www.gifu.med.or.jp/citizen/radio/)に出演する機会をいただき、「知っておくべき胃がんのこと」についてお話しさせていただきましたので、その内容を書かせていただきます。

まず実際に胃がんと診断される方がどのくらいいるのかご存じですか?
2020年に胃がんと診断された日本人は、男性約7万5千人、女性約3万5千人の合計約11万人、全部位のがんに占める割合は約11.6%であり、大腸・肺に続いて第3位と依然高い罹患率です。
また2020年の胃がん死亡者数も男性約2万7千人、女性1万5千人の合計4万2千人と減少傾向ではありますが、がん死亡に占める割合は11.1%であり、肺・大腸に次いで第3位と依然高い死亡率です。(出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」より)
 次に胃がんの発生の原因は何かというと、まず第一にご存じの方も多いと思いますが、ヘリコバクター・ピロリ菌の存在です。日本での胃がんの発生の90%以上にヘリコバクター・ピロリ菌への感染が関与しているといわれています。ピロリ菌は主に小児期に感染し、その後長期間にわたり胃の粘膜に慢性的な炎症を起こします。そして胃粘膜の萎縮や腸上皮化生といった変化が進むことにより胃がんが発生します。その他の胃がん発生のリスクとしては、喫煙、飲酒、塩分の過剰摂取、野菜・果物の摂取不足などが考えられています。
 では胃がんを予防するにはどうすればいいかというと、まずヘリコバクター・ピロリ菌に感染している方は除菌治療を行うことです。除菌治療は胃薬と2種類の抗生物質を1週間内服するのみで簡単に行うことができますので、対象となる方はかかりつけ医の先生にご相談ください。その他に、禁煙・禁酒・塩分制限・野菜・果物をしっかり摂取するなどの生活習慣の見直しが胃がんの予防には重要となります。
 しかし、ここでみなさんに知ってほしいことがあります。それはピロリ菌を除菌したとしても、また生活習慣の見直しを行ったとしても胃がんの発生をゼロにすることはできないということです。
ではどうすればいいのか?
それは「予防」も重要ですが、もっと重要なのは「早期発見」することです。
胃がん治療も日々進歩しており、現在は早期胃がんであればESDという内視鏡での治療で治すことができ、進行胃がんであっても転移などがない段階であれば外科的手術で高い根治率を期待できます。
現在日本では、胃がんのほぼ半数が早期がんとして発見されています。早期の段階でがんを発見することができれば胃がんは根治することができるため、すべての胃がんを早期発見できれば、いずれは胃がんの死亡者数をかぎりなくゼロに近づけることができるということです。
では胃がんを早期発見するにはどうすればいいのか?
それは定期的に内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けていただくことが重要です。内視鏡検査は胃粘膜を直接観察するので早期発見・早期診断を行うことができ、現在胃がん早期発見のために最も有用な検査です。
特に内視鏡検査を受けていただいた方が良い方は


①ピロリ菌を除菌したことがある方
②過去に胃がんと診断されたことがある方
③高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病のある方
です。


特にピロリ菌を除菌した方は、ご自分が胃がんにならないと勘違いしていませんか?
ピロリ菌除菌後の胃がんは多く報告されており、除菌後胃がんはがんの表面が正常粘膜で覆われている特徴があるため、通常の胃がんと比べ発見しにくいといわれております。
そのためピロリ菌を除菌後の方は1年に1回内視鏡検査を受けていただくことをおすすめします。
最後に、本日の「知っておくべき胃がんのこと」のまとめですが、


①胃がんは早期であれば治る病気であること
②胃がんは「予防」も重要ですが、「早期発見」が重要であること
③ピロリ菌を除菌後も胃がんは発生するため、定期的に内視鏡検査を受けることが必要であることです。

みなさんお車をお持ちの方はメンテナンスのために定期的に車検を受けていると思いますが、ご自分のお体のメンテナンスはおこなっていますか?
定期的に内視鏡検査を受けることで、胃がんを早期発見し、胃がんの死亡者がゼロとなる未来を目指しましょう。