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便潜血検査について

院長ブログ

6月から関市の健診(検診)も始まり、健診結果が届いている方も多いと思われます。

今回は大腸がん検診で行われている便潜血検査について説明させていただきたいと思います。

便潜血検査は、便の中に目に見えない程度の微量な血液が混じっていないかどうかを調べる検査です。固い便が大腸の中を通過していく時に、大腸がんや大腸ポリープなどがあると擦れて微量の出血を起こすことがあるため、便潜血検査で陽性となるということです。

簡単な検査であり費用もあまりかからないため、大腸がん検診として便潜血検査が広く行われています。

ただし、便潜血検査にはいくつか注意点があります。

  • 1つ目は、大腸がんがあれば必ず陽性になるわけではないこと。

進行大腸がんに対する感度は66~80%程度と報告されています。感度とは病気(大腸がん)がある人に検査を行い陽性となる確率です。実際に大腸がんの患者さんに検査を行っても20~34%の患者さんは陰性の結果となるため、大腸がんが見逃されてしまうということです。大腸ポリープに対する感度は18~31%とさらに低く、多くの大腸ポリープは見逃されてしまうということです。

つまり、便潜血検査が陰性であっても大腸がんや大腸ポリープの可能性はあるため安心できないということです。

しかし、繰り返し検査を行うことで感度が累積するため、毎年便潜血検査を受けることで救命可能な状態で大腸がんを発見するというのが大腸がん検診の目的とされております。

大腸がんを早期発見する、前がん病変であるポリープの段階で発見するには大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うことが有用とされています。

2つ目は、便潜血検査が陽性でも、必ず大腸がんやポリープがあるわけではないこと

便潜血検査陽性の方に実際大腸カメラを行った場合、大腸がんがみつかるのは約3~5%程度、大腸ポリープがみつかるのも約半数程度であり、多くは痔などによる出血のケースが多いです。

想像しているよりも大腸がんが見つかる方が少ないと思いませんか?

しかし、実際に精密検査を受けていただかないとご自身が大腸がんではないとは言い切れません。自分は大丈夫だろうといって放置しておくと取り返しのつかないことになることもあるため、便潜血検査が陽性となった方は必ず大腸カメラでの精密検査をおすすめします。

また個人的には、以下の方は定期的な大腸内視鏡検査をおすすめします。

  • ① 今までに大腸ポリープを指摘(切除)したことのある方
  • ② ご家族に大腸がんの方がいる方

 

また、時々便潜血検査での再検査を希望される方がいらっしゃいますが、再検査は意味がありません。便潜血検査は大腸がんを否定するための検査ではなく、大腸カメラでの精密検査を受けたほうがよい方を拾い上げるための検査だからです。

最後に、便潜血検査では大腸がんを完全に否定することはできませんが、陽性となった方は大腸カメラを受ける決心をしていただく必要があります。

内視鏡検査が不安な方は、当院では鎮静剤を使用してできる限り苦痛の少ない検査を行っておりますのでお気軽にご相談ください。